解の求め方

如何なる問題も、複数の解決方法が存在する。それぞれの解決方法は、何を重視するかによって優劣が付けられるもので、どの解決方法を選択するのかは(時間の許す限り)解決方法が出揃ってから考えれば良いことであろう。そしてそれが最も適した解決方法であると思う。*1
しかし、問題が提示されるとつい、直ぐに思いついた1つか2つの解答に縛られ、それらを擁護する理論を組み立てる事に終止してしまうことがある。此処では問題に対する解決手順を明文化し、なるべく多くの解決策を考えることができるようにしたいと思う。
まだ学生の僕には社会でどれほどこの方法が認知されているのか判らないが、少なくとも就職活動でこれができている学生は殆どいなかった。

解決方法探索手順

算数の問題だろうが、研究方法の組み立てだろうが、就活でのワークだろうが、一般的な生活においてだろうが、いつも解決方法探索の根幹は同じである。
それは以下の手順を踏むことである。

  1. 問題の認識・明文化
  2. 問題文の要素への分解と、要素の翻訳
  3. 解決策への統合

この手順を踏むことは非常に重要である。1.からすぐに問題解決方法を思いつこうとしてはならない

1.問題の認識・明文化

一般的にはこれが一番難しいとされる。
確かにその通りだと思うし、ある意味で問題文ができた時点で解決の9割は終わっているというのもその通りだと思う。ただ、問題文が与えられるような機会(例えば試験、ワークなど)においてさえ手順を踏めないのであれば、いくら問題が見つけられても仕方がないわけで、あまりこの段階ばかり注目して教育を唱えている人とかはどうなんだろうなぁと思う。
この段階で重要なことは、大雑把な境界条件を明らかにしておくことである(明文化)。ここが揺らいでしまうようでは、何を考えているのか分からなくなってしまう。


2.問題文の要素への分解と、要素の翻訳

これが一番忘れられがちであり、重要である。問題文から答えをダイレクトに予測してしまい、その答えに縛られてしまう人はこの段階をすっ飛ばしている。
問題文を要素にわけ、その要素それぞれを翻訳する。このとき、要素同士の影響を受けないように気をつける。例えば、「○○な条件において、売り上げが芳しくない」という問題の「売り上げ」の要素を翻訳するならば「顧客」「時間」「利益率」etc色々と考えられるが、「○○な条件」という要素を頭に入れた上で考えると「売り上げが芳しくない理由」=「顧客層が狭い」などの思い込みありきで要素の翻訳を行ってしまい、折角分解した意味がなくなってしまう。


3.解決策への統合

要素同士を翻訳物の形で再結合させる。統合物は翻訳方法の組み合わせによって複数作られる。この後は、複数の解決策からそれぞれの良し悪しをピックアップし、優劣をつけることになる。


もう1つ重要なこと

問題解決を手順通りに行うとして、重要なのは「現在考えていることはどの手順のことなのか」をきちんと認識しておく事である。これを間違えると単純な問題が複雑化するし、複雑な問題は捉えられなくなる。
例えば、問題を認識すべき時に、分解まで行ってしまうことや、更に統合の可能性まで示唆してしまうこともあるかもしれないが、それらは全て異なる手順のものとして分けて置いておく必要がある。そして、手順に従って考えを進めていくべきである。


まとめ

  • 問題文を作ったら、答えらしきものを探す前に「問題文の分解」を必ず行うこと。
  • 自分がどの段階のことを考えているのかを常に明らかにしておくこと。

おまけ:次のステップとしては「問題解決方法によって生じる新たな問題は何か」を考えるとよい。


抽象的過ぎる感があるので、そのうち「数学の応用問題が解けない人は何故解けないのか」のようなエントリで少しだけ具体化してみるかも。

*1:定石の決まっている問題に関してはこの通りに限らない。定石があるのならば、それを使う方が高速で「安全」な可能性が高いだろう。